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第82回 半田病院研究発表会

恒例の研究発表会を下記の日程で開催しました。今回の研究発表会は、コロナ対策のため会場を分けて開催しました。

日時:令和2年10月29日(木)午後5時20分より
場所:
 本会場:大会議室(医師、看護部、薬剤科) 定員約40名
 分会場1:小会議室(診療支援部、管理部) 定員約20名
 分会場2:健診室(参加人数によりオープン)

座長:3階病棟 看護師長 黄田 千佳


講演内容

■演題1 『半田病院における認知症委員会の取り組みと課題』

3階病棟 川田 友美

■演題2 『産科混合病棟における業務環境の実態』

4階北病棟 島田 有理

■演題3 『3階病棟における病棟薬剤業務と薬剤管理指導業務で遭遇したプレアボイド事例とその対策』  

薬剤科 長井 昭人

■演題4 『新型コロナウイルス感染症の画像検査について』

放射線科 大西 一

第82回院内研究発表抄録

■演題1 『半田病院における認知症委員会の取り組みと課題』

3階病棟 川田 友美

近年わが国では、入院患者の多くを高齢者が占めるようになり、認知症を有する高齢者(以下、認知症高齢者とする)の数が増加傾向にある。2025 年に団塊の世代の全員が75 歳以上となり、日本はかつてどの国も経験したことのない超高齢化社会を迎える。2025 年に認知症高齢者は700 万人を超えるとの推測値が厚生労働省より発表された。
当院の外来・入院患者の多くは、つるぎ町や美馬市、三好市である。2020 年のつるぎ町の高齢化率は47.3%、美馬市の高齢化率が39.2%、三好市の高齢化率は45.3%と予測されている。現に周産期以外の入院患者の多くが高齢者である。2016 年度に診療報酬改定が行われ、「身体疾患を有する認知症患者のケアに関する評価」が新設された。これは身体疾患のために入院した認知症高齢者に対する対応力とケアの質の向上を図るため、病棟での取り組みや他職種チームによる介入が評価されるものである。新たに2020 年度
より、より質の高い認知症ケアを提供する観点から認知症ケア加算について評価体系及び要件の見直しが行われた。
当院でも2018 年に認知症ケアチームを立ち上げた。認知症委員会での取り組みと今後の課題についてここに報告する。


■演題2 『産科混合病棟における業務環境の実態』

4階北病棟 島田 有理

4階北病棟は産科混合病棟である。助産師12 名、看護師12 名が配置されており、助産師が主に妊婦・褥婦を受け持つA チ−ムと、看護師が産科以外を受け持つB チームに分けられる固定チ−ムナ−シングと一部機能別看護方式をとっている。患者は産科をはじめ、婦人科、小児科、内科、泌尿器科などの複数の診療科の方が入院している。2019 年の1 年間に入院した患者は850 名であり、その内訳産科は437 名、婦人科104 名、小児科172 名、内科131 名、泌尿器科6 名であった。短期間入院患者と多種多様な患者を受け持つことにより、業務が煩雑化している現状があった。また診療科により、処置やケア内容が異なることでスタッフが困惑したことがあるとの意見が聞かれる事があった。
そこで、業務が煩雑化になった場合でも他チームの業務内容を把握し、共有することでより的確な看護が提供できるのではないかと考え本研究を行った。


■演題3 『3階病棟における病棟薬剤業務と薬剤管理指導業務で遭遇したプレアボイド事例とその対策』

薬剤科 長井 昭人

プレアボイドとは薬剤師が薬物療法に直接関与し薬学的患者ケアを実践し患者の不利益(副作用、相互作用、治療効果不十分など)を回避又は軽減した事例の事である。 薬剤師の病棟での活動(病棟薬剤業務&薬剤管理指導業務)でプレアボイドに遭遇する事例がときにあるので報告する。


■演題4 『新型コロナウイルス感染症の画像検査について』

放射線科 大西 一

新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)は,新型コロナウイルス (SARS-CoV-2)を病原体とする感染症であり,現在世界的に流行している.COVID-19 の症状は多岐にわたり,時としてウイルス性肺炎を発症する。重症化すると,急性呼吸性窮迫症候群 (ARDS) や敗血症性ショックなどを合併して多臓器不全に至ることもある。重症化リスクとしては高齢や基礎疾患の存在が挙げられている。
COVID-19 肺炎の評価には胸部単純X 線・CT 検査が有用である。しかし,COVID-19 の肺CT 所見は他のウイルス性肺炎や器質化肺炎と類似しており,画像所見のみでは限界がある。COVID-19 の確定診断は抗原検査・PCR 検査で行うのが原則であり,画像検査は補助的なツールとしての使用が推奨される。また,感染予防の観点から,検査室の使用に限界があることも考慮する必要がある。
COVID-19 の典型的な肺CT 所見としては,両側末梢性すりガラス影,多発する円形すりガラス影,浸潤影や crazy-paving pattern の合併,発症後期では reverse halo sign など器質化肺炎様の所見が挙げられる。ただし断定はできず,鑑別疾患として器質化肺炎,インフルエンザウイルス肺炎,薬剤性肺炎,膠原病などを挙げる必要がある。
まとめると,COVID-19 の診療において画像検査は胸部X 線写真・CT が診断の補助や肺炎の評価に有用である。ただし,画像診断のみではCOVID-19 の診断には不十分であり,感染予防の観点から検査数に限界があることは考慮する必要がある。

  • ごあいさつ
  • 基本理念

 

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